8/21/2012

ユビキタス廃墟 歩道橋もしくはウシナハレタ地平線

ここ十数年以内に本来の使命を完遂し、その役割を次世代に禅譲したLEGACY PRODUCTは多々あります。
卑近例ではPCのISA port、電話モデム、銀塩カメラ、カセットテープ、VHS、Cathode ray tube display 等、例示に事欠きません。
これらは、人類が生産したものとして比較的耐用年数が短くかつ廃棄にさほどコストを要すること無く、設計所期の目的を達成しつつも粛々と次世代への更新が進んでいるかと思います。
逆に、比較的耐用年数がある程度長くかつ廃棄に費用を要し、設計所期の目的を達成したのか不明で、次世代の代替が不明なものもあります。

例えば
歩道橋
但し路線の高架線化に伴う駅周辺の利便化を目指したものは除外。
所謂幹線道路を跨っているそこら辺の歩道橋です。
歩道橋自体の生い立ちからすると、道路使用の主目的が車両通行だった時代に歩行者に道路横断の安全性および 利便性を供与するもののようです。時代も高度経済成長期で矍鑠たる日本人の方か、喜々として歩道橋を闊歩する絵を描いていたのでしょう。
歩道橋の存在意義およびその周辺に関する見解は、想定外にネット検索で見つかります。ぜひご覧ください。
高度成長期時代に想定し得なかった今日の加速度的高齢化の進む今日の解釈では、歩道橋はとてつもないマイナスのインフラストラクチャーかつ障害のある方にとっては行動の制限になる大きなバリアーとなったようです。
昨今階段に平行するスロープの敷設によるバリアフリー化が各所で図られていますが、既存歩道橋をバリアフリー化でみられるような緩やかな傾斜に改修することは困難でしょう。もしかしたらセニアカーが高機動性を備えて老人Z化もしくはタチコマ化して既存の歩道橋に対応するというのも現実性が無いですね。
流山市内には、少なくとも3箇所は歩道橋が設置されています。それらの歩道橋は日常生活において一度も利用したことがありません。さらには市内に限らず、幹線道路を跨る歩道橋も利用した記憶は殆どありません。
理由は余計に疲れるからです。この疲労に関しては誰でも体感的に理解していると思います。
では具体的にどの程度疲れるか計算します。
普段は忘れがちですが地球上では鉛直方向に重力加速度が働いています。重力場に抗して歩道橋を登るために、その高さに見合うポテンシャルエネルギーを人間自体が出力する必要があります。
体重 50kgの人が高さ5mの歩道橋に登るのに必要なエネルギーを計算します。重力加速度は9.8m/s2
必要なエネルギー = 50kg x 9.8m/s2 x 5m = 2450 kg・m2/s2、すなわち2450J。
いまいち把握しづらいのでカロリーで示すと583cal、これでもキツサは分かりにくいですね。
そこで2450Jを、2450W・Sで表示します。これですと40Wの電球が61秒点灯させらることが分かります。
これだと結構なエネルギー量だと思いますね。昨年計画停電の頃、自転車での発電で電化製品の稼動に苦労していたTV番組が多々あったことから明らかです。
なお帰りに歩道橋を降りる際には、同じエネルギー量の衝撃を体が受けることになることもお忘れなく。
これが怪我で膝等の緩衝能に問題があると、相当堪えます。
歩道橋はこれらの身体負荷からすると、足腰の弱った弱者のための交通インフラの側面は殆ど伺えず、健常者の利用しか想定していないようです、
ところで本articleは、特段歩道橋自体の存在意義を世間に広く訴求することが主題ではありません。
以下が個人的かつ主観的な歩道橋の見解です。
実は登ることを目的に市内の3箇所の歩道橋に行ったことがあります。

この歩道橋は、なかなか設置理由を推察することが困難なシュールな歩道橋です。
image001.jpg
野田方面から流山方面を撮影してます。
いったいどのような利用者が居たのでしょうか?
右側に200mも行ったら江戸川です。
結構な荒み様です。
でも良いんです、main eventはこのLandscapeです。
鳥類でもない限り、この場所でこの風景はenjoyできませんね。
送電設備関係の方も見れるかもしれません。

 image002.jpg

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撮影時に他に一人登ってこられた方が実はいらっしゃいました。歩道橋に人が居るが見て不審に思って登ってきた
のか、同様の趣向があった方かは不明ですが。

image006.jpg
しかし流山市内No.1は有料道路入口付近の歩道橋でしょう。


紹介した歩道橋とは一味も二味も異なる荒廃の進みようです。ぜひその眼でご覧ください。
多くの歩道橋は、設置後20年を超過しているものが多いようです。鋼材を使用しているので、間近で見ると錆による侵食も進行し確実に耐用年数は近づいてます。
太平洋戦争時の防空壕、高度成長期の交通戦争での歩道橋、ともに昭和の遺跡の双璧であります。
今日防空壕は見られませんが、現存する歩道橋も数十年後には消滅しているでしょう。
ぜひ登って日常とは異なる視界を、いまのうちに楽しんでおきましょう。


2 件のコメント:

森竹 さんのコメント...

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お久しぶりです。
この記事かなりおもしろくて興味をそそられます。
たしかに歩道橋利用してる人ってあんまり見かけないですよね~
歩道橋あるのに横断歩道もあるっていう交差点もたくさんありますし。
しかし写真の歩道橋周辺の田畑具合が素晴らしいですね。
なぜか懐かしさを感じます。

Consuella さんのコメント...

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遅いレスすいません。
消え行く者への哀愁ですが、あの歩道橋からのlandscapeは、個人的に好きです。
最近歩道橋に出くわすと登って風景を楽しんでいます。